研究概要 |
熱反応炉や柔軟構造物などの分布定数系に対し,関係する物理量の空間分布を目標形状(プロファイル)へ制御するための基礎理論の確立を目指し、空間的に分布している制御量に対して性能保証を与えるような分布定数系制御系設計法の開発を進めた.対象の入出力関係の不確かさのみを把握してロバスト安定化を図る場合は物理的には分布定数系であっても標準的な有限次元設計手法が使用できることはよく知られている。本年度の研究で注目したのは、対象が有限次元でありながら、制御量が空間的に分布しているという意味づけをもつシステムである。有限次元近似ではあるが、周波数領域での加法的誤差上界が利用できる場合の問題の定式化を行い、その有限次元解法を開発した。その結果空間分布を考慮しながら,有限次元系に関する標準的な計算ツールの適用により,与えられた設計仕様を満たすための十分条件を2乗空間積分による性能評価の場合に得ることができた。さらに空間分布の各点評価すなわち性能の空間的な一様評価についての結果も得られた。 2次元熱反応炉の問題に対して本手法の適用を試み、その有効性を検証した。
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