研究概要 |
制御手法の実用化という面では,構造が簡単でしかもロバスト性に優れた制御器の開発が望まれる.また,最近のオンライン制御は,そのほとんどがPCなどを用いたディジタル制御であり,さらに,化学プロセスなどに見られるように入出力のサンプル間隔が比較的長いなど,実際の制御対象の中には,サンプル値(離散時間)システムとして取り扱ったほうが良いものもたくさんある.しかしながら,これまでの適応制御の研究の中心は,連続時間システムを対象としたものであった.サンプル値システムに対する適応制御手法の検討は,あまり多くはなされていない. このようなことから,本研究では,大規模,複雑かつ不確かな種々のサンプル値システム(離散時間表現されたシステム)に対する構造が簡素で実用的な制御系を実現するためのシステムの受動性に基づいた制御系設計法を確立することを目的とし,より幅広いクラスの制御対象へ対応した総合的な制御系設計法の確立を目指した. 具体的には,基本として,まず,連続時間を含め離散システムのフィードバック受動性に基づくオブザーバを用いない適応出カフィードバック制御系の基本的な構成法の再検討を行った.また,上記の基本設計法を基に,並列フィードフォワード補償器を併用した設計法を中心に受動性に基づく制御手法の検討を行い,大規模システムおよび非線形離散時間系をも含めたロバスト適応制御系設計法の確立をした.さらに,上記結果をベースに,マルチレートシステムに対する設計法の検討も行い,サンプル値システムに対する受動性に基づく出力フィードバック形式適応制御系の総合的かつ体系的な設計法の検討を行った.得られた結果は実験室レベルではあるが実験によりその有効性を検証した.
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