研究概要 |
凍着強度実験 軸対象凍結試験装置の供試体外縁部において,周方向の膨張変位が拘束されるよう拘束バンドを設け,凍結実験を実施した.パイプ内を流れる不凍液の温度を変化させることにより,フロストバルブの成長量がコントロールされるとともに,フロストバルブ内に発生する内部応力やパイプとの凍着面に作用する半径方向直応力も変化する.このような状況の下で,凍結実験を合計7ケース実施し,供試体内部の温度分布を観測するとともに,凍着強度がどのように変化するかの実験を行った. その結果,凍着面における直応力は凍着強度自体に大きな影響を与える因子であることが確認されたほか,フロストバルブとパイプとの間に作用する「せん断力・相対変位関係」には,直応力の影響による非線形性がもたらされ,凍着破断に至るまでの靭性が向上することが判明した. 凍土・氷層とパイプの相互作用評価モデルの検討 供試体外縁部に拘束を与えることで変化するフロストバルブ内の圧力分布が評価できるよう軸対称応力評価モデルを改善した.この計算モデルを用いて,凍着面における直応力を推定し,凍着強度に与える影響が定量的に評価された.この応力評価モデルは,実際のパイプラインとフロストバルブにおける三次元的な拘束応力下での相互作用問題で,その挙動を予測するためのモデルとして今後発展的応用が可能と考えられ,凍上作用を受けるパイプライン設計手法の基礎が確立できたものと考える.
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