研究概要 |
構造要素の振動台実験とコンピュータによる構造系全体の数値応答解析をリアルタイムで連動して実行するリアルタイムハイブリッド実験手法において,新たに実験部分にアクチュエータ載荷や回転加振を加えた,並進・回転自由度を有するリアルタイムハイブリッド実験システムを開発した.載荷システムとして、動的アクチュエータ、モーメント(トルク)加力装置および振動台を含めて想定し、回転自由度を含む複合的な載荷条件を実現するハイブリッド実験を実時間で実行するための回転載荷機構を考案し,この載荷機構を含む実験法の検討を行った。実験システムの基本的な性質を調査するため,状態空間法を用いた安定性解析を行い,加振機の遅れやモデルの質量,固有周期,減衰比等がハイブリッド実験システム全体の安定性に及ぼす傾向を調査した.さらに,並進・回転自由度を有するリアルタイムハイブリッド振動台実験をコンピュータ上で再現する実験シミュレーションを実施し,対象とする構造物モデルの特性や加振機の遅れにより,実験結果に大きな誤差が発生する可能性を示唆した.また,DSPを用いたハイブリッド実験制御システムを構築し,仮想実験を実施することで,並進・回転自由度を有するリアルタイムハイブリッド振動台実験に構築したシステムを適用できる可能性を示すとともに、加振中・加振前後の振動台の特性変化に対応できる適応制御の導入について検討した.最後に,実験の実現性を調査するため,逆振子型振動子を供試体として振動台によるリアルタイムハイブリッド実験を実施し,モーメント反力の実験制御への適用可能性について検討し,有望な結果を得た.
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