研究概要 |
膜分離活性汚泥法における目詰まり原因物質である菌体の代謝物(EPS)は膜の遮断効果により,膜面に付着し,膜透過流束低下を引きこすと考えられる.本研究では膜面堆積汚泥よりEPSを抽出し,膜面に堆積したEPSの分子量変化とそれに伴う膜透過流束の変化について検討を行った. 膜面における強結合および弱結合EPSにおいては、50万Da以下の分子量をもつEPS量が増加した.また、膜面上の高分子量のEPSの減少により膜ろ過抵抗が減少し、膜面におけるポリマーの低分子化が膜分離リアクターの挙動に影響を与えることが示唆された。 膜面におけるポリマーのはく離過程をモデル化を行った。膜モジュールとしては平膜モジュールに加え、中空糸膜モジュールも対象とし、せん断力と膜面からの汚泥のはく離速度との関係についても定量化を行った。平膜については、膜面のせん断力と気泡流の上層速度と速度分布との関係を定式化し、中空糸膜については、膜内の流速分布と気泡流量との関係を定式化し、膜に働く力との関係を定式化した。 膜面に堆積したポリマーの低分子化速度と膜間差圧低下のモデル化を行った。膜面におけるポリマーの挙動の定式化を行うことを目的とし、膜面の堆積ポリマーを高分子成分(分子量100万以上)、中分子成分(同10万〜100万)、低分子成分(10万以下)に分類し、各成分の変化を一次方程式にて定式化し、係数の決定を行った。実験は、膜に汚泥を退席させたものを水道水中で整地させ、膜面における各成分のEPSの体積量の変化を測定し、モデルへのフィッティングを行った。その結果、各成分の変動を構築したモデルにより表現可能であることを示した。また、高分子部分の堆積量が膜ろ過抵抗に関係があるという式を構築し、膜フラックスの低下との関係について実験的検討を行い。モデルが妥当であることを示した。
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