研究概要 |
プラスチックはその特性(加工性,軽量,安価など)を活かした多くの技術開発がなされ,利便性をはじめ生活環境に多くの恩恵を享受してきた.一方で,大量生産,大量消費,大量廃棄により,多くの廃プラスチックが発生するようになり,プラスチックが難分解性であることからごみ量増加,最終処分場の逼迫を招く要因となっている. 平成18年度はガス化溶融処理とストーカ炉+廃溶融処理について,約80施設に対して,計画収集人口,一般廃棄物の排出状況,廃プラスチック類を含む容器包装の分別収集・選別保管に係るエネルギー消費量,費用等のヒアリング調査を行い,両処理方式のLCA,LCC評価を行った.その結果,年間焼却量に関わらず,ガス化溶融方式よりもストーカ炉+灰溶融方式が低環境負荷な焼却方式であった.さらに資源化に関しては,溶融施設においてスラグ化されているものの,その供給先が少ないために最終処分されているところもあり,販売先のルートの確保も必要であることを示した. 平成19年度はプラスチック類の再資源化方式として,(1)高炉還元化,(2)コークス炉化学原料化,(3)油化処理,(4)ガス化処理,(5)材料リサイクルの5手法について,実施している企業体にヒアリング調査を行い,その結果をもとにLCA,LCC評価を行った.その結果,LCA,LCC評価とも,今回の条件設定において,プラスチック1トン当たりを再資源化する処理方式としては,ガス化処理方式の電力消費量が他の処理方式より非常に大きいが,再資源化によるCO_2排出量削減効果,費用回収効果も大きいため,最も優れていることを明らかにした.今後,再資源化物や日本全国における需要量を考慮した場合,全てをガス化処理することが適正とは限らないため,それらを考慮した適正配置等の検討が必要である.
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