研究概要 |
サルファーサイクルを活性化した無加温UASB/DHSシステムを用い,都市下水処理場にて運転日数700日を越える長期連続廃水処理試験を行った結果,以下の知見が得られた。 (1)HRT 17hr,循環比2,下水温度が24±5℃の条件における,全BOD濃度は,流入下水で135±29mg/L,UASB処理水で41±8mg/L,DHS処理水で7±3mg/Lであった。下水温度が10℃を下回った期間においてもDHSを経た全システムにおける全BOD除去率は94±2%を達成したことから,本システムにより安定した下水処理可能であることが分かった。(2)UASB槽内に蓄積した汚泥量は,UASB流入汚泥量とUASB流出汚泥量の差(100%とする)に対して,SSベースで2-3%の蓄積であり,本プロセスが汚泥排出の極めて少ない特性を有することが分かった。(3)下水温度が低下する冬季(RUN8)において,メタン生成古細菌の活性に対する硫酸塩還元細菌の活性の比率(SRA/MPA)が,水素基質について2.59にまで達した。このことから下水温度が低い条件において,嫌気的な分解反応の進行に硫酸塩還元菌が寄与することが分かった。 また,本システムを融雪剤廃水の低温処理に適用した結果,10℃以下の温度条件でもHRT8時間で90%のCOD除去といった良好な処理成績が得られた。この低温UASB内の構築された微生物群集にはAcetobacterium sp.とDesulfobulbus sp.が優占していた。
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