研究概要 |
本研究は,フレッシュコンクリートの流動特性に関する合理的な流動構成式の提案と,流動シミュレーションのための数値解析手法開発を目的としている。以下に,流動構成式を導くために行ったレオロジー試験の概要と,今回開発した数値解析手法の概要を示す。 コンクリートの調合から流動挙動が予測できるよう,セメント粒子の凝集構造破壊過程のひずみ速度依存性を考慮した流動曲線予測式を提案した。この流動曲線予測式の特徴は,凝集構造の破壊過程をWeibullモデルで表し,濃厚懸濁液の粘性予測式であるRoscoe式を定常状態における非ニュートン流体の流動曲線予測式に拡張している点にある。ここでは,各係数の同定と提案式の有効性を共軸二重円筒形回転粘度計を用いて行った。試験試料としてセメントペーストを用いているが,提案式はモルタル・コンクリートへの展開も可能なものである。 フレッシュコンクリートの流動シミュレーションを目的として,マーカー粒子粘塑性有限要素法や粒子法の一種であるMPS (Moving Particle Semi-implicit)法による解析法を開発した。マーカー粒子粘塑性有限要素法はオイラー型有限要素法の一種で,MAC法の特徴を有する。また,MPSは有限要素法や差分法のようにメッシュ分割の必要がないので,複雑な形状に対応できるほか,フレッシュコンクリートの流動問題のように自由表面問題への適用性も高い解法である。これらの解析法は,ビンガムモデルに起因する材料非線形性に対応している。 本研究では,これらの解析手法がフレッシュコンクリートの流動試験法であるスランプ試験やL型フロー試験結果を説明できることを確認した。
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