研究概要 |
本研究の目的は,戦後の我が国に大量に建設された地域公共建築物ストックを活用しつつ,自律恒常的に地域公共空間サービスを提供するシステムを構築する方法論を開発することにある.この目的のため,次の研究を行った. 1.集会機能の体系再編成と空間性能対応マトリックスの作成 利用実態調査の結果をもとに,利用者がなぜその室を選んだのかを,室の特性と対応づけつつ分析して,集会機能の体系を再編成した.この新たに得られた集会機能の各類型に必要とされる空間性能を対応づける集会機能-空間性能対応マトリックスを作成した. 2.地域公共建築物の活用可能ポテンシャルの算出 上記1.のマトリックスと,建築物ストック諸元データベースを結合して,それぞれの建築物に配置可能な集会機能をどのように決めたら良いのか,その方法論を明らかにした.これによって地域公共建築物の活用可能ポテンシャルを算出する方法論を構築した. 3.地域公共建築物の位置ポテンシャルの算出 道路網と地形のGISデータをもとにして,地域公共建築物へのアクセシビリティを計測した.計測は,申請者らによる既往研究を基礎にするが,傾斜の扱い方について既往研究に指摘された留意点である理論的整合性を織り込んで,代謝量に立脚した手法を洗練,発展させた.これに地域の人口分布を結合して,さらに利用実態調査の結果から得られる移動状況を勘案して地域公共建築物に到達可能な人口を算出し,位置ポテンシャルとした.
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