研究課題/領域番号 |
18560644
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荒木 秀樹 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20202749)
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研究分担者 |
白井 泰治 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20154354)
水野 正隆 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50324801)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,860千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 360千円)
2007年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2006年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 陽電子 / 陽電子消滅 / 陽電子寿命 / 原子空孔 / 金属間化合物 |
研究概要 |
体心立方型金属間化合物Co_2TiAlは、融点が高く、耐酸化性に優れているため耐熱材料のコーティング材料として期待されている。しかし、機械的性質や拡散挙動に大きな影響を及ぼす欠陥構造については、十分には明らかにされていない。そこで、本研究では、陽電子寿命測定法を用いてCo_2TiAlの欠陥構造を明らかにした。アーク溶解により種々の組成のCo_2TiAl合金を溶製し、1273Kで86.4ks均質化焼鈍を施した後、炉冷した。陽電子寿命測定に用いる試片は放電加工機を用いて10x10x1.5mm^3に切り出した後、電解研磨で表面のひずみ層を取り除いた。その後、1273Kで3.6ks焼鈍し、試料中に熱平衡空孔を凍結するため、氷水中に焼き入れた。これらの試料の陽電子寿命スペクトルを室温で測定し、得られたスペクトルをPositronfit Extendedを用いて解析した。DV-Xα分子軌道計算によりCo_<50>Ti_<25>Al_<25>の完全結晶の陽電子寿命を算出したところ、約120psであった。一方、化学量論組成よりCoとAlが過剰な組成であるCo_<50.8>Ti_<24.0>Al_<25.2>を炉冷した試料の陽電子平均寿命は約160psであり、χ^2q^<-1>値は約1であった。この試料を再度1273Kで焼鈍後、氷水中に焼き入れしても、陽電子平均寿命、χ^2q^<-1>値ともほとんど変化しなかった。これらの結果は、Co_<50.8>Ti_<24.0>Al_<25.2>では化学量論組成からのズレを空孔を形成することによって補っており、ほとんど全ての陽電子はその空孔に捕獲されそこで消滅するために完全結晶の計算値より大幅に長い寿命値になったと考えられる。このようにL2_1型金属間化合物Co_2TiAlでは、CoとAlの組成が過剰であるとき化学量論組成からのズレを補うために10^<-4>以上の多量の空孔が形成されていることが明らかになった。
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