研究概要 |
Al-Mg_2Si合金の高温での機械的性質を改善する目的で、この合金にCu、Agあるいは両方を同時に添加した合金を20種類作製し、その板状析出物、ならびに時効硬化挙動を硬さ測定とTEM観察で調べた。 Cu,AgおよびAgとCuの両方を含む合金を673Kで時効すると、観察方位<111>_<Al>で六角形状の組織が観察された。この六角形状の組織は、CuあるいはAgを含まない合金では観察されず、Cu,Agを含む合金で初めて発見されたものであった。<111>_<Al>での観察では、六角形の板面は母相の{111}_<Al>に平行で、各辺は<110>Al方向に平行であった。この六角形状の析出物は、板状でβ相(Mg_2Si)と同じ結晶格子のサイズと化学組成をもつと考えられた。ただし、六角形状の析出物からは少量のAgが検出された。これらの合金を423Kで時効した場合、引張り試験の結果、Ag添加合金では伸びが、Cu添加では引張り強さが改善され、CuとAgの複合添加は、その双方の長所を得ることができた。この成果をもとに特許の出願を行った。
|