研究課題
基盤研究(C)
本研究では、特殊流動様式中(特異三相流動層:液添加・軽量大径粒子流動層)に置かれた物体の洗浄特性を明らかにすることを目的として、おもに以下の4項目にわたり実験的検討を行い結果を得た。(1)先ず、産業的洗浄への応用を考えた場合に現れる汚れ粒子(小径重粒子)などが混合した2成分系流動層における小径重粒子の流動化状態に及ぼす影響や、小径重粒子の分離・排出の方法を検討し、小径重粒子が流動化特性に悪影響を及ぼさない適正運転範囲を特定するとともに、分散版構造を適正に構成することで粒子循環を制御し小径粒子を効果的に分離できることを明らかにした。(2)次に、この流れの中に置かれた物体の洗浄メカニズムに関する検討を行った。固体粒子と液体の両方が洗浄媒体として作用する本流動様式では、農産物などの泥落としのような荒い洗浄が主となる洗浄様式と、工業製品の油膜落としのような緩やかな流体移動が支配的な洗浄の2種類の洗浄様式が複合して優れた洗浄性能をあたえているとの洗浄メカニズムを提案した。そのためここでは、荒い洗浄に関して粒子衝突力とモデル洗浄体(石膏円筒)の摩耗度との関係を調査し、緩やかな洗浄に関しては人工汚染布の白色化の調査を行った。(3)粒子衝突力と摩耗特性との関連の検討では、始めに粒子衝突力の物体周りの衝突力分布や空気速度への依存度、水添加や小径重粒子の添加の影響などを明らかにした。それらと同一の条件におけるモデル洗浄物体(石膏円筒)の摩耗度や粒子の存在しない気泡流中における摩耗度の調査結果との突き合わせから、泥落としなどの荒い洗浄様式には粒子衝突が第一次要因として直接関わっていることを明らかにした。(4)一方、人工汚染布を利用した洗浄実験より、粒子衝突とは直接的には関わらない緩い洗浄様式が存在することを実験的に明らかにでき、(2)で掲げた2種類の洗浄様式が相乗的に作用することで、優れた洗浄性能が実現できているメカニズムを特定することができた。これらの研究成果は、この流動様式を利用した洗浄装置の開発に有益な設計指針を与えるものとなっている。
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Fluidization XII, ed. X, Bi, F. Berruti and T. Pugsley, United Engineering Conferences, Brooklyn, NY
ページ: 337-344
Fluidization XII, ed. X, Bi, F. Berruti and T. Pugsley, United Eng. Conferences, Brooklyn, NY
Fluidization 12 Ed. X, Bi, F. Berruti and T. Pugsley, UEC, NY