研究概要 |
マイクロ波を照射しながら,ナノ秒の時間分解能で蛍光寿命を測定できる装置を組上げた。この装置を用いて,双極子モーメントの異なる蛍光プローブ分子の蛍光寿命の変化に及ぼすマイクロ波の影響を測定した。溶媒にはグリセロールを用いた。マイクロ波が作る電場により,溶媒分子や蛍光プローブ分子の運動に変化が現れるか検討した。マイクロ波の出力は,20Wから100Wの範囲で行なった。マイクロ波照射により,蛍光寿命は短くなった。このことは,マイクロ波の電場により溶媒分子や蛍光プローブ分子の回転運動が加速されたことを意味すると解釈できる。 また,安息香酸のエステル化反応の反応速度の温度依存性について,マイクロ波過熱と通常過熱で実験を行なった。得られた結果を遷移状態モデルにより解析した。その結果,活性化自由エネルギーはマイクロ波過熱と通常過熱で違いはなかった。しかし,活性化エントロピーが異なった。
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