研究概要 |
本研究は,高温開裂型重合反応性アゾ開始剤を用いて.モノマーの種類や特別な装置を必要としない簡易なグラフト重合方法を提案することを目的としており,高温開裂型重合反応性アゾ開始剤の重合特性などを詳細に検討するとともに,本手法の汎用性を高めるために,重合反応以外の方法により高温開裂型重合反応性アゾ開始剤を基材に導入する方法を探索する。 平成18年度は,高温開裂型重合反応性アゾ開始剤の重合特性などを詳細に検討するとともに.メカノケミカル反応を利用した高温開裂型重合反応性アゾ開始剤の無機微粒子への導入条件の検討などを行った。その結果,高温開裂型重合反応性アゾ開始剤2,2'-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]と,スチレン(St),メタクリル酸メチル(MMA),および酢酸ビニル(VA)等のコモノマーとの共重合反応では,APMPAの共重合反応性は,VA,Stの順にMMAが最も小さい事が分かった。また,ボールミルを用いて,基材粒径および形状,粒子充填量とジルコニア等の媒体充填量,ローター・容器問のクリアランス,ローター回転数,処理時間等が,得られるAPMPA-シリ力複合粒子へのAPMPAの導入量に及ぼす影響を詳細に調べた。平成19年度は,高温開裂型重合反応性アゾ開始剤の重合特性と得られる高分子の物性評価を目的に,まず,St-APMPA-ジビニルベンゼン共重合体を用いて,メタクリル酸,メタクリル酸グリシジル等のグラフト共重合を行った。次いで得られるグラフト両親媒性粒子を合成し,再生医療のための人工骨髄の支持担体としての可能性を検討し,メタクリル酸グリシジルをグラフトさせた粒子を用いて,ヒト骨髄芽球細胞の長期保存を実現した。ついで,メカノケミカル反応による高温開裂型重合反応性アゾ開始剤の無機微粒子への導入を目的に,カーボンブラックを基材としたAPMPA-カーボンブラック複合粒子からの.グラフト重合による有機-無機複合粒子の合成を行った。
|