研究課題/領域番号 |
18560753
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物機能・バイオプロセス
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中島 洋 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00283151)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,920千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 420千円)
2007年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | チトクロムc552 / ミオグロビン / 好熱菌 / ペルオキシダーゼ / ヘムタンパク質 / Thermus thermophirus / 機能性タンパク質 / 人工酵素 |
研究概要 |
本研究では、酵素の化学に基づく分子設計を、耐熱・耐久性に優れたタンパク質を対象に施し、研究室レベルにある人工酵素に実用性を賦与することを目的としてきた。耐熱性ペルオキシダーゼの創出は、主な成果の一つである。この研究では、好熱菌由来の電子伝達タンパク質、チトクロムc_<552>に対し、過酸化水素を酸化剤に用いる一電子酸化酵素、ペルオキシダーゼの触媒機構をアミノ酸置換法によって導入し、常温から70℃の温度域で持続的な活性を示す耐熱性の人工ペルオキシダーゼを造り出すことに成功した。この人工酵素は、触媒回転数では、天然のものに及ばないが、70℃付近までタンパク質が変性せず、温度の上昇とともに触媒活性が増大する高い構造安定性を有する。したがって、ここで得られた知見を基に、更なる分子設計を行えば、より高い触媒回転数を有する高耐熱性酵素が実現できるであろう。人工酵素の触媒機構と失活過程については、すでに解明を終えており、触媒の活性と持続性の向上に必要な分子設計指針も得ている。今後、指針に従ったタンパク質の機能改変を行い、耐熱性人工ペルオキシダーゼの実用性をさらに高める予定である。 本研究で得られた結果は、好熱菌由来タンパク質が、化学を基盤とする人工タンパク質の研究において、有用な骨格分子として利用可能であることを明らかにし、この組み合わせが、実用的な人工タンパク質創成に向けた方法論の一つであることを示せたと考える。好熱菌をはじめとする極限環境微生物には、これまで有用な機能がないために利用できていないタンパク質資源が数多く存在する。それらのタンパク質も本法を用いることにより、人工タンパク質の基盤分子としての利用が可能となり、天然以上のもしくは、天然にはないタンパク質の創造につながる可能性がある。
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