研究概要 |
本研究では,従来のディーゼル燃料にジメチルエーテル(DME)を混合することで,ディーゼルエンジンにおける排気ガスの清浄化を試みるものである.DMEは,軽油に比べて自已着火しやすいこと,含酸素燃料であること,炭素同士が直接結合していない構造のため燃焼時に煤が発生しにくいなどの点から,ディーゼル機関の代替燃料として有用な点がある.その反面.潤滑性に乏しい,ゴムなどを腐食するといった欠点がある. そこで本研究では,潤滑性を補うために軽油や重油燃料にDMEを混合することで使用し,またテフロンなどの素材を燃料配管に使用することで腐食をさけることを検討した.実験では,水制動力計と小型ディーゼルエンジンを配置し,DMEを液化させて混合するために耐圧容器(5Mpa程度)を燃料タンクとして使用し,混合燃料の圧力をDMEの飽和蒸気圧以上に保ったままで送油できるようにした. 実験では,燃焼室内部の圧力の時間履歴を測定できるようにエンジンを改造し,圧力や熱発生率の履歴を計測・算出して,燃焼形態の変化を明らかにし,あわせて排出ガス成分の濃度測定を行った.実験条件は,1)燃料噴射圧力(ノズル開弁圧力15,26MPa),2)機関回転数(1600,1850,2000rpm),3)負荷(1〜6kW)とし,DMEの混合率を重油に対して30%と40%に設定をした. 実験の結果,どの回転数の条件でも,窒素酸化物の排出はDMEを混合することで低減し,特に高負荷条件の際に低減の効果が顕著であった(機関回転数2000rpm,DME混合率40%の際には従来燃料に対して30%の低減).すす濃度の低減効果も顕著であり,従来燃料に対してDME混合燃料は50〜70%の低減が得られた. 以上より,ジメチルエーテルを従来のディーゼル燃料に混合することで,排出ガスの有害成分を低減可能であることを明らかにした.
|