研究概要 |
本研究は,構造物の健全性を監視するセンサ開発の一環として実施するもので,従来からの構造部材に働くひずみに関する情報に加えて,曲げや座屈損傷などにより構造部材が局部的に大変形した場合にその変形の程度を一つのセンサで検知する複合センサを開発することを第一の目的としている.さらに,センサの情報を収録し,警報を発する信号処理装置をネットワーク接続し,複数のセンサ情報をモニタリングして遠隔診断を可能とするセンサシステムを開発することを第二の目的としている. 2年間にわたる研究の結果,レーザー加工により積層した高分子圧電フィルム表面に様々な電極パターンを成形し,自由なセンサ全体形状に加工することで,一つのセンサ上に複数のセンサ要素を構成でき,計測対象の曲げ変形曲率を計測するだけでなく,変形位置を特定することが可能であることを実験的に明らかにした.また,複数センサの情報を処理可能とするため,圧電フィルムセンサ用のモジュール型電荷増幅回路を設計試作し,その計測性能を明らかにした.さらに,多機能なマイクロコントローラを利用してセンサからの信号を処理する信号処理回路とパーソナルコンピュータとの通信機能を有する計測システムを開発した.本計測システムは複数の子機を親機とネットワーク接続し,親機が子機と通信してデータ収録を行う直列接続のセンサネットワークシステムを構成する.本システムが構造データを逐次収録可能であることを実験的に検証した.
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