研究概要 |
マルチプレット・クラスタリング解析法を基礎にした地下き裂システムの透水性評価法を開発することを目的として,本年度は地下き裂システム透水性評価法の具体化を進めた.その成果の概要は以下の通りである. これまでの成果を踏まえて,実フィールドデータの解析を進めることにより,まず,マルチプレット震源に時空間分布により流体流動方向ならびに透水性き裂システム形成プロセスの推定が可能であることを示した.また,マルチプレット震源の高精度位置標定により抽出したき裂構造面走向傾斜と応力場より臨界間隙水圧を求め,これとマルチプレットの時空間分布を相互に解釈することにより,貯留層造成時の地下き裂臨界間隙水圧の分布ならびに圧力勾配の推定が可能であることをソルツフィールドのデータを用いて示した.圧力伝搬速度については,マルチプレットイベント数が少なく,震源分布が一様でない場合,推定が難しいことが分かった.マルチプレットのサイスミックモーメント解放量の増加量ならびに震源域面積の増加量により,貯留層内き裂構造の流体流動の度合いを推定することが可能であることを示した.地下き裂構造や動的挙動に関して,マルチプレット波形分類時のコヒーレンス周波数帯域との関係について検討した.以上のような解析結果をもとに,マルチプレット・クラスタリング解析法による震源標定を基礎とした貯留層内き裂群透水性評価手順を提案した.本解析法を,ソルツフィールドのデータに適用し,評価法の問題点や限界点を明らかにした.
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