研究課題/領域番号 |
18570012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
嶋田 正和 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40178950)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 300千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2006年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 最適採餌理論 / 記憶 / 学習 / キイロショウジョウバエ / 歩行軌跡 / ランダム歩行 / Levy flight的歩行 / 自己回帰モデル / Levy fiight / 時系列解析 / 局所定常ARモデル / べき乗分布 / 指数分布 / 記憶と学習 / イエバエ / ニューラルネットワーク・モデル / 餌探索 / ジグザグ歩行 / 自動追尾システム / 自己回帰(AR)モデル |
研究概要 |
最適採餌理論は生物が今現在の利益や将来の利益のすべてを見通したうえで完全に合理的に振る舞うという現実から離れた最適化の解法を適用している。そのため、生物の持つ記憶や学習能力といった現実の動物に課せられる制約を考慮した上で理論を再構築する必要性が指摘されている。本研究では、動物の餌探索の歩行軌跡には記憶・学習を用いた意志決定の効果が現れることに注目し、キイロショウジョウバエで実験を行った。餌探索軌跡全体がどのようなパターンになっているかを解析することで、その軌跡によりもたらされる採餌効率、すなわち餌探索における究極要因(適応度)が明らかとなると期待される。まず、一区切りの歩行がLevy flightと呼ばれる「べき乗分布」と、ランダム歩行の「指数分布」の、混合モデルに適合すること、そして歩行には直進方向に対する偏向性を持つことを見出した。これは、餌獲得効率を高めるためのLevy flight的な歩行(まれに超長距離の歩行を示すのが特徴)を促す自然選択圧と、実際の生物に課せられた身体的制約の、両方が混合された行動として理解できる。さらに、局所定常AR(自己回帰)モデルによる時系列解析により、移動速度はある時間幅では同じARモデル(行動ルール)で歩行するが、転換角度には定常な行動ルールは見られず、移動速度への自然選択が示唆された。このように、本研究では物理学的・統計学的手法を駆使して動物の行動の背景にある意思決定過程を解析したもので、従来の行動生態学の範囲を超えて斬新な成果を提示している。
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