研究課題
基盤研究(C)
脊椎動物の内耳背側にある三半規管は、その三次元的構造と機能が密接に結びついているうえ、脊椎動物の種に関わらず基本的な形態が共通しているので、形態形成機構の解析のモデル系として魅力的な器官である。この研究計画では、この三半規管の形態形成のメカニズムの一端を、複数のモデル動物を使って明らかにする事を目指した。ニワトリ胚の三半規管の形態形成について、免疫組織科学による詳細な解析を行った結果、これまでの定説とは異なり、上皮間充織転換が重要な役割を果たしている可能性が示された。ゼブラフィッシュ三半規管形成は耳胞内部へ上皮が前方、側方、後方、腹側の4カ所から突出する事で始まる。研究代表者らが同定した変異系統galleryでは、これらの突出のうち側方のみしか形成されない。この原因遺伝子のマッピングを進め、20年度中にはポジショナルクローニングが出来る目処が立った。原因遺伝子が同定できれば、突出形成のメカニズム解明の糸口になると期待される。いっぽう、国立遺伝学研究所の川上浩一博士との共同研究で同定された、耳胞の上皮突出の先端でGFPを発現するトランスジェニック魚について、3Dタイムラプス解析を行うとともに、Gal4が挿入された遺伝子領域の同定を行い、遺伝子のクローニングを行った。得られた遺伝子は既知の遺伝子ではあったが、これまで知られていたスプライシング型とは異なり、より上流に位置するエクソンを使っていた。既知のスプライシング型と今回同定されたスプライシング型では、胚における発現パターンが異なる可能性があり、現在確認中である。今後、このスプライシング型を特異的にノックダウンする事などにより、内耳の形態形成における役割を探って行くことで、今まで知られていなかったこの遺伝子の機能が明らかになることが期待出来る。
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The Tohoku Journal of Experimental Medicine (印刷中)
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