研究課題
基盤研究(C)
これまでの研究により、pri遺伝子がショウジョウバエ幼虫腹部上皮にある歯状突起の形成に関与していることが明らかになっており、器官形成におけるパターン形成の機構を探る上で、pri遺伝子の機能を明らかにすることは意義深いと思われる。本研究ではpri遺伝子の詳細な解析を行い、pri遺伝子産物の生理機能を明らかにすることを目指した。pri遺伝子のORFは最も長いものでも49アミノ酸に過ぎず、ごく短い短鎖ペプチドが遺伝子産物であると考えられた。この可能性を検証するため、培養細胞系を用いたレポーターアッセイを行ったところ、少なくとも4個の非常に短いORF(それぞれ11,11,11,32aa)がポリシストロニックに翻訳されていることが明らかとなった。また、各ORFを過剰発現型するトランスジーンがそれぞれpri表現型を完全に回復することができること、フレームシフト変異を導入したトランスジーンでは活性が完全になくなることから、個々のORFが完全な遺伝子活性を持つペプチドをコードすることが示された。pri遺伝子の生理機能を詳細に調べるため、歯状突起の形成に重要であることが知られているアクチン細胞骨格の動態を解析したところ、pri変異体では表皮細胞に特異的に見られるアクチン束が観察されなかった。また、pri変異体において、歯状突起形成のマスター遺伝子であるshavenbaby(svb)およびその標的遺伝子であるアクチン制御因子群の発現解析を行ったところ、svbの標的遺伝子群の発現消失は観察されるものの、svbについては顕著な発現変化は見られないことから、svbによる下流遺伝子の転写制御にpriが必要であると考えられた。上記の実験結果により、ショウジョウバエpri遺伝子は複数の極めて短いペプチドをコードし、アクチンネットワークの制御を介して、幼虫表皮や気管といった上皮性組織の形成に重要な役割を果たすと結論づけられた。
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