研究概要 |
アスパラガスはアレロパシー物質を生合成することが知られ,それが連作障害の一要因となっていることが示唆されている.本研究では研究初年度に,雌雄別に採取した擬葉及び雌雄別の再分化個体を用いた無菌的プラントボックス法によってアレロパシー活性の検出を試みたところ,いずれの場合も活性が認められたが,その活性の程度に雌雄間差異は認められなかった.これらの知見は,アスパラガス雌雄混在種のアレロパシー活性を,種子由来の実生を被検定植物に用いて検定することが可能であることを意味しており,実生を用いた生物検定法が品種間差異の検出に有効であることを明らかにした.そこで、国内主力6品種について検定を行ったところ,品種間差異が検出された.このことは,改植時に品種の見直しを図ることで減産を回避できる可能性があることを示唆している.すなわち,現行品種を連用するよりもより活性の低い品種に切り替えることで,連作障害を回避または低減できることが期待された.アスパラガスの連作障害が,前作中に生合成され土壌中へ放出されたアレロパシー物質によるものだとする考えを実験系で再現するためには,生物検定時に検定植物をアスパラガスに置換する必要がある.そこで研究2年目は、この手法により生物検定を行った結果、検定2週間後までにアスパラガス種子の発芽、発根及び根の伸長は阻害されることがなかった。一方、検定植物にレタス種子を用いた場合はアレロパシー活性が認められたことから、阻害的に作用する何らかの物質がゲル中に放出されているものと思われた。現在、生物検定中の光質を変化させるとアレロパシー活性の程度に変化がみられたことから、被検定植物に照射する単色光のPPFD値を操作して,照射後に得られるゲル・溶媒からのアレロパシー物質の単離・同定を行っている. これらの研究成果は、園芸学会において発表を5件行い、論文として取りまとめ、投稿中である。
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