研究概要 |
本研究は,アジサイにおいて装飾花と小がく花の2種類の小花が着生する機構を分子レベルで解明することを目的としている. アジサイから3個のAP1,2個のAP3、1個のPI相同遺伝子を単離した.RT-PCR法によりこれらを含むいくつかの遺伝子について発現解析を行った結果,LEY相同遺伝子HmLFY装飾花の花弁状がく片で特異的に発現していることが示された.一方,in situハイブリダイゼーション法を用いた発現解析を行った結果,AP3相同遺伝子であるHmAP3は装飾花の花弁状がく片では発現していないことが明らかとなった. 額咲き型品種'Blue Sky'とその芽条変異系統で手まり咲き花房を着生する'BM-1'の花芽を用いたSuppressio Subtractive Hybridization法(SSH法)により,花房型に特異的に発現する遺伝子の単離を試みた.'Blue Sky'のSSHライブラリーから単離された16種類の機能未知cDNAクローンについて,RT-PCR法による発現解析を行った.花芽に関しては,いずれのクローンも'Blue Sky'で特異的に発現していた.また花芽,栄養芽および葉での発現解析を行った結果,これらのクローンは4つの発現パターンに分類された. 'Blue Sky'のSSHライブラリーから単離されたcDNA断片の配列を解析した結果,少なくとも1種類のTy1-copia型と6種類のTy3-gyps型のレトロトランスポゾンRT配列が発現していることが明らかとなった.RT-PCR法による発解析を行った結果,レトロトランスポゾン様配列は原品種'Blue Sky'の花芽,栄養芽,葉,根のいずれにおいても発現していることが示された.一方,突然変異系統'BM-1'でも栄養芽,葉,根で発現が認められたが,花芽では発現が抑制されていること明らかとなった.
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