研究課題
基盤研究(C)
(研究の目的)昆虫は、脳から様々な神経ペプチドホルモンを体液中に分泌することが知られている。これらのペプチドは、温度や光などの刺激を受け、脳かち分泌されることにより、昆虫特異的な現象である羽化、休眠、変態を引き起こす。本研究では、これら神経ペプチドの分泌機構の解明を最終的な目標として、蛋白質の細胞内輸送に関与する低分子量GTP結合蛋白質の一種であるrab蛋白質に焦点を合わせて研究を行った。(研究内容)まず、カイコのデーターベースから昆虫特異的なrab蛋白質を2種類探し出し、カイコの組織からmRNAを抽出後、RT-PCRを用いて2種類のrabのcDNAを得た。次に、これらのcDNAを大腸菌発現ベクターに挿入し、融合蛋白質として2つのrab蛋白質を大腸菌で発現させた。アフイニテイークロマトグラフイーを用いてそれぞれの蛋白質を精製後、その生化学的機能を解析した。その結果、2種類のrab蛋白質は、[35S]-GTPγSと[3H]-GDPに結合し、GDPとGTPを交換する活性、GTPを分解する活性を有していた。また、この内の1つのrabは、GTPよりもGDPに対してより強く結合した。以上の結果から、2種類のrab蛋白質は、GTP結合蛋白質としての機能を持つことが示された。次に、2つの蛋白質を抗原として、マウスを用いてモノクローナル抗体を2種類作成した。得られた抗体を用いて、8種類の昆虫rab蛋白質を用いたイムノブロッテイングを行ったところ、2つのrabに対する抗体は、それぞれの蛋白質だけを特異的に認識した。次に、カイコの様々な組織を用いてイムノブロッテイングを行ったところ、rabは、カイコの精巣と脳に特異的に発現していることがわかった。
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Comprehensive biochemistry and physiology, partC 147
ページ: 278-285
Comprehensive Biochemistry and Physiology C 147
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