研究概要 |
我々の研究室で開発したゴルジ体のearly, lateのサブコンパートメントを免疫学的に分離して精製する方法が,ペリフェラル膜蛋白質の局在,機能解析に用いることができるか評価するための実験を行ったARFのGDP/GTP Exchan ge Factor (GEF)として機能するGeal, Gea2に関してゴルジ体のサブコンパートメント精製法によりその局在を決定したところ,early Golgiに多く存在し,過去の報告から機能すると推定されていた場所と一致することがわかり,サブコンパートメント精製法がペリフェラル膜蛋白質の局在決定,網羅的な同定に有効であることが明らかとなった.またRabファミリー蛋白質であるYpt1, Ypt31のGEFで複数のサブユニットからなるTRAPPに関して同じ実験を行ったところ,late Golgiに多く存在するという新規の知見を得た.しかしながら,解析を行ったペリフェラル膜蛋白質の多くは,たとえ固定細胞を蛍光顕微鏡観すると強いゴルジ体のドットして観察されるものであっても,細胞を破砕するとゴルジ体膜から遊離してしまい,本研究の免疫学的精製法によりゴルジ体膜各サブコンパートメント画分に回収される蛋白量が非常に少なくなってしまうという現象に遭遇した.ゴルジ体膜に存在するペリフェラル膜蛋白質の網羅的な同定を行うためこれを改善する必要があると考えた.各種の条件検討を行ったところ,細胞の破砕法をlyticaseによる細胞壁を酵素消化する方法から,ガラスビーズによる物理的な破砕法に変更することによりゴルジ体膜画分への収量が劇的に増加することを見いだした.本研究により,ペリフェラル膜蛋白質のゴルジ体サブコンパートメント特異的な局在化の分子機構の詳細な解析と,質量分析計を用いたゴルジ体ペリフェラル膜蛋白質の網羅的な同定のための基盤を確立することに成功した.
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