研究課題/領域番号 |
18580081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用微生物学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
藤田 憲一 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10285281)
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研究分担者 |
田中 俊雄 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10137185)
臼杵 克之助 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (30244651)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,860千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 360千円)
2007年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2006年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 真菌 / Aspergillus nidulans / Candida albicans / 細胞骨格 / 微小管 / チューブリン / 抗真菌性抗生物質 / 二形成酵母 / チュープリン / 二形性酵母 / 出芽酵母 / 儀菌糸形成 |
研究概要 |
L-2,5-dihydrophenylalanine(DHPA)はアスペルギルス属の糸状菌に形態異常を伴う生育阻害作用を示し、その際、細胞骨格のうち微小管およびその単量体であるチューブリンの細胞内プールを消失させる。DHPA処理した菌糸では全てのチューブリン遺伝子の発現量が増大していることがわかった。一方、DHPA処理によってユビキチン化したチューブリンは検出できず、DHPA処理した菌糸から得られた無細胞抽出液におけるチューブリン分解活性の充進も見いだせなかった。以上の結果より、DHPAは予想とは逆にチューブリン遺伝子の発現量を増大させることが判った。 ついでCandida albicansに対するDHPAの影響も検討した。DHPAは菌糸誘導条件下で本菌の菌糸成長を抑制し、主として酵母体細胞を誘導することがわかった。さらに、酵母体の約半数は異常に膨潤した核を持ち、また明瞭なアクチンパッチの確認できない細胞も観察された。一方、DHPA処理によりアクチン、チューブリン、ユビキチンの細胞内プールが減少していることもわかった。以上の結果より、DHPAのC.albicansへの作用はアスペルギルス属菌のそれとは異なる可能性が示唆された。 出芽酵母に対してチューブリン量を減少させる薬剤を検索した結果、イソアミルアルコール(IAA)にそのような活性を見いだした。IAAは偽菌糸を誘導し、その際、細胞内全タンパク質に対する微小管の単量体であるα-およびβ-チューブリンの相対量が低下することが明らかになった。また、チューブリン総量の減少にもかかわらず、顕微鏡下では紡錘体の顕著な消失は観察されず、染色体分配は一見、正常に進行しているように観察された。しかし、IAA処理酵母では未処理の酵母より娘細胞への染色体の分配に遅れが見られた。さらにチューブリン減少はチューブリンの転写阻害および分解促進に由来せずに翻訳阻害に起因する可能性が示唆された。 以上の結果より、薬剤処理によって誘導されるチューブリンの減少は少なくとも3属の真菌においてみられるが、それら現象と形態異常との相関が認められたが、その機構に共通性はないと見なされた。
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