研究課題
基盤研究(C)
本研究では、血管内皮細胞中の(+)-カテキンの標的分子を同定することにより、(+)-カテキンによる血管内皮細胞拡張作用の分子機構を解明することを目的とした。当初使用していたマウス血管内皮細胞由来培養細胞株であるbEnd.3細胞で、カテキン刺激応答としてのNO産生に再現性のよい結果が得られなかったため、文献的に同様のNO産生能をもつことがわかっているヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を材料として用い、NO産生系の至適化も試みた。しかしながらHUVECにおけるNO産生系は、応答めバックグラウンドが高く、現在まで文献で報告されているNO産生の再現を得るに至っていない。そこで、ATCCからbEnd.3細胞を再度購入し、NO産生系の再構築を試みている。一方、in vivoにおける(+)-カテキンの作用が刺激後比較的早い段階で認められたことから、翻訳後修飾レベルでの蛋白質変化も予想され、二次元電気泳動上でスポットの変化となって検出されることが期待される。そこで、8週齢、♂のICRマウスに(+)-カテキンを100mg/kgで尾静脈注射により投与し、3時間後の(+)-カテキン投与マウスとコントロールマウスの脳抽出液のタンパク質発現プロファイルを2次元電気泳動で解析した。その結果、(+)-カテキン投与により、分子量約6万、pI約8.1および分子量約1.7万、pI約8.3のスポットの増大、分子量約2.2万、pI約5.7のスポットの減少が認められた。これらのスポットは、受容体候補分子、あるいはその下流に存在するシグナル伝達に関与する分子である可能性が考えられる。今後これらのスポットを同定していく予定である。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件)
Biosci. Biotechnol. Biochem. 72
ページ: 139-148
10027523175
Biosci. Biotechnol. Biochem 72