研究概要 |
レンチオニンによる血小板内情報伝達阻害の検討 シイタケ中の環状硫黄化合物の中で最も含有量が多く、シイタケ独特のフレーバー成分であるレンチオニンを用いて、血小板凝集抑制作用の有無を検討した。レンチオニンはアラキドン酸凝集、およびU-46619凝集に対して濃度依存的に血小板凝集を抑制した。また、シイタケ精油中のレンチオニン濃度を算出したものと、レンチオニンの血小板凝集抑制作用を比較したところ、その効果はほぼ同じであった。このことから、シイタケ精油の持つ血小板凝集抑制効果は、ほぼレンチオニンによるものであることが明らかとなった。 次に、レンチオニンの血小板凝集抑制作用機序の解明を行うため、種々の血小板凝集惹起物質(A23187,PMA,PAF,ADP)を用いて検討を行った。レンチオニンは全ての血小板凝集惹起物質に対して、濃度依存的に血小板凝集を抑制した。このことよりレンチオニンの作用は、血小板内の情報伝達物質による血小板凝集カスケードには関与せず、血小板の接着や形態変化、活性化に関係する血小板膜や各種受容体、もしくはそれらに伴うタンパク質のリン酸化反応を阻害していることが示唆された。 レンチオニンのex vivoにおける血小板凝集抑制作用の検討 レンチオニンを経口摂取した場合でも血小板羅集抑制作用を示すか否かを明らかとするため、ラットにレンチオニンを経口胃内投与し、一定時間後に採血した血液の血小板凝集抑制作用を測定した。その結果、レンチオニンは経口胃内投与後、8〜20時間後において、コントロールに対し有意に血小板凝集を抑制した。さらに、レンチオニンを食事として摂取する場合、どの程度摂取すれば血小板凝集抑制作用を示すのかを明らかとするため、レンチオニンの投与量を変化させ、レンチオニンが血小板凝集抑制作用を示す最低投与量を検討した。その結果、レンチオニンは1mg/kg以上の投与量でコントロールに対し有意に血小板凝集を抑制した。
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