研究課題
基盤研究(C)
本研究は落葉広葉樹二次林において、落葉層の厚さに着目しながら林床面蒸発を2年間にわたって連続観測し、その変化実態を把握するとともに微気象環境、落葉・土壌層の水分環境および群落蒸発散量との関係を解析した。以下に本研究において得られた主要な成果をまとめる。(1)林床面蒸発の日変化・季節変化特性蒸発量は着葉期(5月-10月)で0.42mm/day、落葉期(11月-4月)で0.29mm/dayとなり、これは既往の報告とほぼ近似した値であった。また春期、夏期に大きく、冬期に小さくなる季節変化を示した。無降雨日における林床面蒸発量の群落蒸発散量に占める割合は、着葉期で約14%、落葉期で約24%となった。林床面蒸発は着葉期よりも落葉期に、群落蒸発散量に占める割合が大きくなった。また、林床面蒸発量の降雨量に対する割合は約10%であった。(2)林床面蒸発の微気象環境に対する応答2年間の林床面蒸発と各種の微気象因子の観測データを用いて、回帰分析を行った結果、林床面蒸発と飽差の決定係数が0.73となり、他の微気象因子よりも相関が高いことが確認された。(3)落葉層が林床面蒸発に及ぼす影響2007年6月1日から半年間の測定で、厚さ1.5cmの落葉層は裸地面蒸発を約5%減少させ、4cmの落葉層は約19%減少させた。これらの数値をライシメータ法で落葉層の林床面蒸発に与える影響を評価した既往の報告と比較したところ、落葉層が厚くなるほど蒸発抑制率が大きくなる傾向はおおむね一致したが、その抑制率は本林分のほうが小さい結果であった。
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中部森林研究 54
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10027224896
Chubu Forestry Research 55