研究概要 |
ダイオキシン分解菌及びその菌の粗酵素からの微生物製剤、酵素製剤を用いたダイオキシン、環境ホルモン、焼却灰の浄化法の開発について検討した。また、製剤処理による土着微生物や植物(作物)栽培への影響も調べ、以下の結果を得た。1.製剤添加量、処理期間等を検討し、微生物製剤を用いる環境ホルモン、ダイオキシン汚染土壌の浄化法を開発した。その方法により、環境ホルモン(DDT)汚染土壌が浄化(84%)できた(5%製剤添加,30日間処理)。また、ダイオキシン(2,8-DCDD、2,4,8-TCDF)汚染土壌も浄化できた(2〜5%製剤添加、浄化率35〜66%)。さらに、微生物製剤中の菌の成育を促進する方法も見出した。2.製剤添加量、処理期間等を検討し、酵素製剤を用いる環境ホルモン、ダイオキシン汚染土壌や汚染水の浄化法を各々開発した。その方法により、環境ホルモン(DDT)汚染土壌、ダイオキシン(TCB)汚染土壌を各々15%,27%浄化できた(15日処理)。また、環境ホルモン(DDT)汚染水、ダイオキシン(TCB))汚染水を短期間で浄化(各々35%,26%、3日処理)できた。さらに、酵素製剤中の酵素の安定化因子を解明し、酵素を安定化するとともに、酵素製剤の分解能を評価できる方法を開発した。また、汚染水浄化時には酵素製剤は少なくとも2回は再使用できることも見出した。3.pH緩衝能を持つ土壌と一種の界面活性剤を微生物製剤処理時に添加する焼却灰浄化法を開発した。この方法により、焼却灰を浄化(38%,TEQ換算)できた(30日間処理)。しかし、焼却灰の高pHにより酵素が失活するため、酵素製剤を用いた焼却灰の浄化法は開発できなかった。4.微生物製剤や酵素製剤を用いた土壌浄化法は、土着微生物や土壌中の微生物の活性に関与するといわれているデヒドロゲナーゼ活性に影響を与えなかった。また、これらの製剤処理による植物(作物)栽培への影響も認められなかった。
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