研究課題/領域番号 |
18580174
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大越 和加 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (20233083)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
2,630千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 330千円)
2007年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2006年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 人為的影響 / 増養殖事業 / 穿孔性多毛類 / 移入種 / 貝類 / Polydora / 増養殖 |
研究概要 |
今日、ますます海洋での食糧生産が期待されている一方、人為的な影響により沿岸域の生態系が変化し、漁業資源の安定した供給が危ぶまれている。その原因のひとつに、増殖・養殖事業に伴い、自然の速度をはるかに上回る速度で物質や生物が移動している現状が挙げられる。日本では貝類の増養殖が盛んに行われ、最近のグローバル化に供い、日本から世界中の海域に持ち込まれ、または日本に移入され、増養殖の対象種として沿岸域に生息している。水産有用貝類の貝殻に多数の環形動物多毛類Polydoridsが穿孔し、商品価値の低下、成長阻害、ひいては斃死等の原因になっているとの報告が世界中で増加している。その中で増養殖上、貝類への商品価値の低下、貝類の成長の低下、斃死のリスク等の点で最も注目されている3種の中で、Polydora uncinataの有用貝類への侵蝕が近年日本国内に留まらず世界の養殖現場から報告され、懸念されている。今回、オーストラリアを中心に、韓国、中国、国内の生息状況、侵蝕状況の把握を試みた結果、昨今の穿孔性多毛類Polydoridsを調べることは、同時に、急速に人為的に生物が移動したことによる影響を解析することになることが推察された。生物の人為的で急速な、しかし隠れた移動が、移入先の生態系に及ぼす影響については、少なくともこれまではまったく検討がなされていない。本研究は、海洋で今まさに進行しつつある、気が付き難い生物をも含めた多種多様な生物の急速な人為的移動による生態系への影響を顕在化させる、示唆に富んだ研究となる。今後は、増養殖貝類の貝殻に穿孔する多毛類の調査を継続することにより、急速に広まる海洋の移入生物の実態を正確に認識し、具体的な方策へと繋げることが期待される。本研究は、多くの貝類を世界中に移動させた、あるいは移動させている増養殖先進国であるわが国がリーダーシップをとって行うことが適切であり、意義がある。
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