研究課題/領域番号 |
18580188
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
池田 譲 国立大学法人琉球大学, 理学部, 教授 (30342744)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,920千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 420千円)
2007年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2006年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | イカ類 / 社会システム / 行動 / 飼育 / 脳 |
研究概要 |
本研究は、巨大脳という知性基盤を有し、群れ行動など社会的外観を示すイカ類について、社会性が知性獲得の選択圧となったというマキャベリ的知性仮説を適用し、イカ類の社会システムの実態とその進化的背景を行動学的に探ることを目的とした。 初めに、社会性を表す群れ行動に注目し、その形成過程を孵化後のアオリイカを継続観察することから調べた。これにより、孵化時点では個体の行動はランダムであるが、時間経過に伴い群れが形成されることが明らかとなった。次に、アオリイカを対象に群れ内個体間の関係を摂餌場面における順位制から調べた。その結果、摂餌場面では常に大型個体が最初に摂餌し、大半の摂餌場面で大型および中型個体は高い頻度で摂餌していたものの、小型個体は低い頻度でしか摂餌しないという、体サイズ依存的な順位制が明らかとなった。 続いて、熱帯性イカ類における社会性と行動変異を調べるため、頭足類8種を対象に鏡映像への反応を比較した。その結果、社会性または半社会性のジンドウイカ科とコウイカ科では自己鏡映像に高い関心行動を示したのに対し、非社会性のマダコ科は同様の行動を示さなかった。次に、熱帯性イカ類の社会性の種間変異と脳構造の関係を探るため、上記の頭足類について脳を解剖学的に比較した。その結果、ジンドウイカ科およびコウイカ科では、視覚記憶・学習に関わる垂直葉がマダコ科に比べてよく発達していたのに対し、マダコ科では触覚に関わる下前頭葉がよく発達していた。 以上のように、イカ類の社会性を群れ行動から、またその進化的背景を鏡映像に対する行動と脳容積の種間比較より検討し、新しい知見を得ることができた。これらは、イカ類の資源管理上の基礎的知見となるとともに、比較認知科学分野にも多くの示唆を与え得るものと考えられる。
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