研究概要 |
1.オレキシン(ORX)ニューロンの脳内分布:メダカとマツカワにおいて,ORX細胞体は視床下部のNPPvに,ORX繊維は終脳から延髄までの広範囲に検出された. 2.ニューロンの初期発生:ORXの機能開始時期の推定のためにマツカワ脳内におけるORXニューロンの初期発生を調べた.ORX細胞体は艀化4日後に視床下部に検出され,ORX繊維の分布は孵化28日後には成魚と同様になった. 3.ORX,MCHおよびMSHニューロンの脳内ネットワーク:二重免疫組織化学法でマツカワ脳内のORX,MCHおよびMSHニューロンの分布を調べた.ORX繊維はMCH・MSH細胞体と,MCH・MSH線維もORX細胞体に密接していたことから,脳内ネットワークの存在が示唆された. 4.MCHとGnRHニューロンの脳内ネットワーク:マツカワを白・黒水槽で7ケ月間飼育すると,脳内MCH濃度は白水槽で高く,GnRH-II濃度は黒水槽で高かった.脳においてMCH細胞体に密接してGnRH-II線維が観察されたことからMCHとGnRHの相互関係が示唆された. 5.ORXの時間分解蛍光免疫測定法の確立:ORXの時間分解蛍光免疫測定法を作製した.標準曲線は100ng/ml〜0.78ng/mlの範囲で描けた.マツカワとメダカの脳抽出物の競合曲線は標準曲線と平行であった. 6.メダカORXのcDNAクローニング:メダカオレキシン/ハイボクレチンをコードするHCRT遺伝子をクローニングした.メダカHCRT cDNAの全長は641bpで140個のアミノ酸をコードしていた.メダカHCRT遺伝子は2つのエクソンからなりプロモータ領域にはTATAボックスが存在した.演繹アミノ酸配列は,他動物種と約50%の相同性を示した. 7.メダカORX受容体のcDNAクローニング:メダカORX受容体のcDNAクローニングを行った.メダカゲノム上にはHCRTR2のみが見つかった.HCRTR2は7回の膜貫通部位を持つGタンパク共役型受容体であり,膜貫通部位のアミノ酸はよく保存されており,セブラフィッシュHCRTR2と同じ分枝に位置した.
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