研究課題
基盤研究(C)
日本では、最近、明太子、イクラなど非加熱で食べる水産食品の一部がL.monocytogenesにより汚染されている実態が報告され、申請者らの最近の研究でも確認されている。本研究では、非加熱喫食水産食品に絞り、L.monocytogenesの分布検出調査を実施し、分離した食品分離株の諸性状および水産食品中での増殖性や生存性を調べることにより、水産食品での本菌のリスクに関する基礎知見を得ることを目的とした。平成18年度研究では、汚染実態調査、菌株の分離とともに、基本的な菌株情報を得ることを目的とした。市場流通している水産食品のなかから、すでに実施した調査により高頻度でL.monocyto-genes汚染が認められた明太子、いくら、ネギトロなどについて、網羅的に分布調査、および、菌株の分離を実施した。また、L.monocytogenesの検出は、minividas法(AOAC公認法、免疫法にもとづく)により検出された陽性サンプルについて、鑑別培地塗抹→典型コロニーの同定(公定法に準じた試験に加えてAPI,PCR確認)を実施した。さらに、分離株について血清型、基本的遺伝性状をあきらかにした。平成19年度研究では、平成18年度に引き続き、菌株の病原遺伝子性状等の精査や菌株のタイピング識別法の開発を行なうとともに(病原遺伝子inlAの精査、リステリアの簡易遺伝子タイピング法の開発等)、L.monocytogenesの水産食品中や製造環境等での増殖(ネギトロで5℃保存での増殖試験)や生存性評価(環境でのバイオフィルム形成能試験)への基礎データを得た。これらの結果を踏まえて、水産食品中におけるリステリア・モノサイトゲネスのリスクについての基盤的な知見を整理した。
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