研究概要 |
森林を撮影した高分解能衛星画像を解析して,単木樹冠地図を自動的に作成する手法を開発した.長野県北佐久郡軽井沢町の上信越高原国立公園内で研究分担者が管理している試験林を研究対象とした.現地調査を行い,80m×40mの範囲で林冠の上層部を構成している樹高が約16mから18mの樹木の計約100本について,樹冠の外形および位置を計測した.樹冠の外形は,幹から8方位の樹冠外縁を地上に投影した点と幹との水平距離を計測して8角形とした.各樹木位置の基準となる地点の位置情報をGPS装置で取得し,そこから各樹木の幹の位置も計測した.これらのデータから個々の樹冠の位置と形状を地上に投影して表す林冠投影図を作成した.また,森林の高分解能衛星データから個々の樹冠を抽出する画像処理手法を開発した.対象地域の高分解能衛星データを購入し,自動的に個々の樹冠領域を抽出した.最後に,画像処理結果と林冠投影図を重ね合わせた.高精度の重ね合わせには一方を固定し他方をアフィン行列によって幾何変換する必要がある.この処理には一般的に,複数の地上基準点を画像処理結果と林冠投影図の両方から選択する必要があるが,森林には特徴的な基準点がなく,衛星画像から有効な地上基準点を選択することができない.そこで重ね合わせの精度を示す評価式を提案し,地上基準点を使用しないで高精度の重ね合わせを実現した.重ね合わせた衛星画像から個々の8角形樹冠の領域を抽出した.この樹冠画像と位置を3次元コンピュータグラフィックス技法で処理して,単木樹冠地図を立体的に可視化した.さらに,デジタルカメラを使った森林の3次元計測手法を提案した.
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