研究概要 |
近年,食の安全・安心に関わる問題がクローズアップされ,生産地ではより厳しい品質検査に耐えうる高精度な検査技術の研が求められている。本研究は,アメリカで脚光を浴びているハイパースペクトラルイメージング法を用いて,果菜類における高目密・高精度な品質評価が可能な総合品質検査システムの開発を目的とした。研究内容は,イチゴ,マンゴー,モモ,ナスを供試して,熟度,病害虫痕,糖度,内部損傷,機能性色素に関して分光画像による非破壊計測の要素研究を実施し,計測システムの開発を行った。成果概要は次の通りである。 1.イチゴ,モモ,マンゴーの品質評価 (1)傷の評価を特徴付けるNIR領域(600〜1000nm)における分光波長は,イチゴでは825nmと980nm,モモでは810nmと960nであった。マンゴーでは傷の特徴を促す特徴ある波長は強認められなかった。 (2)糖度,熟度の評価を特徴付ける分光波長は,イチゴでは,着色度合い5分以上で特徴ある吸光度値3波長を用いた検量線において相関係数0.78以上となった。マンゴー,モモでは5波長の検量線において0.79,0.80となった。 NIRハイパースペクトルイメージング法によって傷の検出,糖度の測定は適正な検出波長の分光画豫を用いることにより,非破壊計測が可能であることを示唆した。 2.着色イモ,ナスの機能性評価(アントシアニン色素評価) アントシアニン色素の吸収が強い波長は,アヤムラサキでは525nm,ムラサキマサリでは526nmIDであった。また,ナスでは716nmであった。これらにおける分光画像の吸光度値とアントシアニン含有実測値との単相関係数は0.75〜0.97の範囲にあった。 3.総合評価検査システムの試作 適正な検出波長の分光画像を用いて損傷,糖度,機能性色素等を検査する簡易な非破壊計測システムを試作した。
|