研究課題
基盤研究(C)
烏骨鶏は黒色の皮膚や絹糸状の羽を持つなど独特の特徴をもっており、明代にはその肉が漢方薬の材料とされていたが、烏骨鶏の遺伝的な由来や独特の形質の原因遺伝子については全く不明である。そこで、烏骨鶏と白色レグホーンのゲノムDNA間のPCRサブトラクションを実施し、3つのサブトラクションライブラリを構築した。それらのライブラリから178クローンをシーケンスし、86個のユニーククローンを得た。それらのシーケンスをニワトリ全ゲノム配列と比較し、プライマーペアを作成し、PCR-RFLPのシステムを構築した。その結果、13個のPCR-RFLPマーカーにおいて、サブトラクションライブラリに使用した烏骨鶏と白色レグホーンの間で変異が認められた。それらのマーカーについて、烏骨鶏と日本在来鶏、コマーシャル品種について遺伝子型判定を実施した結果、2つのPCR-RFLPマーカーにおいて烏骨鶏と他の品種の鶏の間に遺伝子型頻度に5%水準で有意な違いが認められた。従って、これらのマーカーの近傍を詳細に調べることによって、烏骨鶏の特異的な形質の原因遺伝子を発見できる可能性がある。また、プロラクチン遺伝子のプロモータ領域に存在する24-bpの挿入の有無について、同様の遺伝子型判定を実施した結果、烏骨鶏と他の品種の鶏の間に遺伝子型頻度において5%水準で有意な違いが認められた。また、この座位については24-bpの挿入をホモで持つ烏骨鶏は1羽も存在しないことが示された。このことより、この座位の近傍に、烏骨鶏の特異的な形質の原因となる遺伝変異が存在するのではないかと考えられた。さらに、烏骨鶏の選抜集団において、この座位の遺伝子型と産卵率との関連性を検討した結果、有意な効果は認められなかったことから、烏骨鶏の産卵率を改良するためには、この24-bpの挿入以外の遺伝変異について検討する必要があることが明らかとなった。
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