研究概要 |
牛糞尿について嫌気性処理(高温メタン発酵)→希釈→好気性処理(活性汚泥法)の順に生物学的処理を行い、その後オゾン酸化処理を行うプロセスを構築した。使用した牛糞尿廃水のBOD_5,TOC,COD_<Cr>,SS,total VFAの濃度はそれぞれ27,600mg/L,9,470mg/L,25,800mg/L,58.6g/L,12,700mg/Lと高く、環境ホルモン様活性は200-900mg/L(3.3-14.8mg/g dry weight)であった。TS負荷4g/L/dにおける高温メタン発酵では、処理水中のTOCおよびVSS濃度はほぼ一定に保たれ、有機酸濃度は約300mg/Lであった。このときのガス発生量は8,000ml/L/d、メタン含量は約60%であった。また、平均的な環境ホルモン様活性の除去率は80%であった。得られた嫌気性処理水を水道水で4倍希釈し、好気性処理を行った。その結果、total-VFA,BOD_5,COD_<Cr>,TOC,TS,VSSをそれぞれ99.7%,90%,79%,84%,48%,60%にまで削減することができた。環境ホルモン様活性も40-100mg/Lまで低下させることができたが完全には除去できなかったので、オゾン酸化処理を行った。その結果、環境ホルモン様活性を検出限界以下に低減できた。 嫌気性処理での環境ホルモン様活性低減の機構を解明するため,17β-エストラジオール(E2)を含むモデル家畜糞尿廃水の嫌気処理を行った。供給液のTOC濃度8g/l、希釈率0.05d^<-1>の条件でのメタン発酵槽内の真正細菌(Bacteria)を対象として16S rRNA遺伝子に基づく系統解析を行なった結果、Proteobacteria門とFirmicutes門に近縁な微生物が優占であることがわかった。
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