研究概要 |
多細胞体形成における糖鎖の役割は受精、発生、分化、免疫、癌化現象の中で指摘されてきた。しかし、糖鎖分子と標的分子との結合力の弱さゆえに、糖鎖分子そのものを用いての機能解析には困難さが伴う。これまでに細胞性粘菌において報告のあった糖タンパク質の接着分子、内在性レクチン、細胞外マトリックス等を介しての多細胞体形成に焦点をあてる。多細胞体形成における糖鎖分子の機能を糖鎖欠損変異株、糖鎖遺伝子を通してより明確化し、網羅的に捉えようとするのが本研究の試みである。細胞性粘菌は一倍体であり、種々の糖鎖欠損突然変異株の単離が容易である。この特性を生かし、可能な限りの糖鎖欠損変異株を単離する。細胞性粘菌野生株を変異原処理し、4〜5日間培養後、FITC標識レクチン(ConA,WGA,PNA,MAL,UEAI等)とフローサイトメーター(FACS Vantage SE)により,各種レクチン蛍光ネガティブの細胞群を一次スクリーニングとしてプールし,次に一旦プールした細胞群を二次スクリーニングにより単一細胞としてソーティングする。各種レクチンに対する反応ネガティブのクローンを単離する。 FITC標識ConAを用いて、複数個の突然変異株を単離した。突然変異株のウェスタンブロット解析の結果、ConAとの反応性が変化した複数バンドが検出された。また、野生株に比して、これら突然変異株では、寒天培地上での増殖速度が著しく低下した。
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