研究概要 |
遺伝子改変細胞を用いるアッセイ法によって海洋生物や伝承生薬の抽出エキスや海洋微生物の培養物ライブラリーから、p53などのホスト細胞の情報伝達系に依存せずp21 promoterを直接的に活性化する活性物質を探索し、インドネシアで採集したAaptos属海綿に含有されるbenzo-naphthyridineタイプアルカロイドaaptamineやインドのアユルベーダ生薬であるSida cordifolia由来アルカロイドcryptolepineを活性成分として単離した。また、その作用機序についても詳細に解析し、両化合物が野生型MG63細胞に作用させるとp21タンパクの発現を誘導すること、その細胞周期をG2/M期に停止することを明らかにした。さらに、aaptamineがp21 promoterを転写活性化する際に関与するプロモーター領域におけるレスポンスエレメントを解析し、aaptamineおよびcryptolepineは、これまでにp21 promoter転写活性化する物質として知られているHDAC阻害活性を有するtrichostatin Aやbutyrateと同様にp21 promoter上のSp1-3,Sp1-4やSp1-5,6サイトを介しp21 promoterの転写を活性化していることが示唆された。さらに、インドネシアで採集した海底土壌から分離した真菌の培養液に同様の活性を見出し,活性試験の結果を指標に分画・生成することでhydroquinone化合物secaronic acid Dを活性本体として同定した。また、secaronic acid Dの作用についても解析を行い、secaronic acid Dが、野生型MG63細胞に作用させるとp21タンパクの発現を誘導すること、その細胞周期をG2/M期に停止することを明らかにした。
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