研究課題/領域番号 |
18590025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
細井 信造 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (60209236)
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研究分担者 |
佐久嶋 明世 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (40094833)
木内 文之 独立行政法人医薬基盤研究所, 薬用植物資源研究センター, センター長 (60161402)
高橋 一朗 福井大学, 工学部, 准教授 (90197129)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,980千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 480千円)
2007年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2006年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 円二色性 / 不斉 / 絶対配置 / 分子力場計算 / 立体配座解析 / アミン / アルコール / 天然物 / キラル |
研究概要 |
1)新規CD発色試薬3-cyanocarbonyl-3'-methoxycarbonyl-2,2'-binaphthalene 1を用いて種々のキラルアミンを誘導体化したものについて、CD測定、次いで分子力場計算(CONFLEX-MM2)による構造最適化を行い、ナフタレン発色団間の"ねじれ"の方向と励起子カイラリティーの符号との相関について検討した。得られたアミドのCDスペクトルにおいて、240nm付近のUV吸収領域で分裂型CDを示した。各誘導体の立体配座解析において、励起子カイラリティーの符号と2つの2-naphthoyl基の"ねじれ"の方向との間に良い相関が認められた(正/時計回りのねじれ;負/反時計回りのねじれ)。また、誘導体の半経験的分子軌道計算により、分子内水素結合の存在が示唆された。各誘導体をN-メチル化したところ、CDスペクトルに大きな変化が見られた。即ち、225nmを中心とする分裂型CDへと変化した。更に、N-メチルアミドにおけるビナフチル系の電子遷移モーメント間の"ねじれ"の方向と励起子カイラリティーから予測される"ねじれ"の方向とが一致することが明らかとなった。よってキラル2級アルコールのみならずキラル1級アミンの場合にも誘起CD励起子法が適用できることが明らかとなった。 2)β位に不斉炭素を有する1級アルコールをCD発色試薬1で誘導体化し、得られたエステルについてCDスペクトルを測定した。その結果、240nm付近のUV吸収領域で分裂型CDを示した。次いで各誘導体について立体配座解析(CONFLEX-MM2)を行なったところ、最安定配座における二つの2-naphthoyl基の長軸方向の電気遷移モーメント間の"ねじれ"の方向と計算で求めた全ての安定配座に基づく優先"ねじれ"との間に相違が認められるケースに遭遇した。この原因として次のことが考えられた。即ち、以前検討したキラル二級アルコールの場合、立体障害が支配的であるのでCONFLEX-MM2による計算が有効であった。しかし、キラル一級アルコールの場合においては、エステルのメトキシ基と他の置換基との相互作用が重要となり,この相互作用の評価がCONFLEX-MM2による計算では設定パラメータの問題等で満足のゆくものではなかったと考えられた。この問題を解決するためにはより精度の高い密度汎関数計算レベルの解析が必要と考えられた。そこで予備試験としてモデル化合物について密度汎関数法による電子円二色性(ECD)計算を行なった。その結果次のことが明らかとなった。1.ビナフチル基の"ねじれ"の方向が反時計回りでは必ず短波長側から正と負のカプレットになる。即ち、励起子キラリティーの符号は(-)となる。2.各安定配座のエネルギー差は僅かであることから、実際の化合物の立体配座解析がかなり複雑になってくることが示唆された。
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