研究概要 |
1.光駆動性クロライドポンプ(HR)のクロライド輸送機構の解明 光駆動性クロライドポンプ(HR)のクロライド輸送機構を電気生理学的に精密に検討することが出来る系を確立した.世界ではじめてこの実験に成功している.この実験の他では出来ないユニークな点は,膜電位をかけながら,Cl^-の輸送が実験出来ることである.これを利用して,HR1分子当たりの「輸送能力」と1秒間に輸送するイオン輸送能力を見積もることを可能とした.これで,様々な変異体の輸送活性を精度良く見積もることができるようになった.輸送における輸送中間体の役割を明らかにするために最も重要な事柄のひとつである. 2.オリゴペプチド輸送担体(hPEPT1)の基質輸送機構の解明 hPEPT1がトランスポーターでありながら,特殊な基質存在下では,基質認識部位における構造変化によりH^+チャンネルとしても働き得ること見いだした.この知見により、トランスポーターは(チャネル)+(基質スイッチ)の2つの機構からなり,これらを協調的に機能させ,基質を輸送するという作業仮説に至った.この性質は,上紀のCl_-の膜透過過程にも含まれ,膜透過の本質であることも明らかになった. 3.ヒトNa^+/モノカルボン酸共輸送体(hSMCT)の基質認識機構の解明 構造の異なるモノカルボン酸を用いてhSMCTの斯質認識に関する法則を明らかにした.化合物が長いほど親和性は増大するが、基質輸送能は低下する.カルボキシル基とは離れた位置に疎水性基を認識する機構が存在する.カルボキシル基は基質認識に必須であるが、基質認識サイトが多岐にわたる.また,モノカルボン酸NSAIDsの阻害が最も強いことが明らかになった.更なる構造活性相関により,hSMCTに対する親和性を向上させる化合物の構造を明らかにした.
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