研究概要 |
コンドロイチン硫酸(以下CS)は,グリコサミノグリカンに属する酸性多糖類である。構造的にはGalNAcにGlcAがβ1-3結合した二糖を構成単位とした繰り返し構造をもつ直鎖状多糖鎖で、GalNAcのC4位またはC6位,あるいは,GlcAのC2位に硫酸がエステル結合した化合物である。今回CSの経口的摂取における生体調節機能を明らかにするために,賦与が予想される抗炎症活性および抗アレルギー活性について,腸管免疫系に焦点を絞り,全身性免疫系への影響を分子レベルで定量的に解析した。その結果、以下のことが明らかになった。 1.ウシ気管軟骨由来CS(分子量分布8〜22kDa、平均分子量15kDa)のマウス腸管からの吸収は、投与量の0.01%以下であること。 2.上記CSを分子量により分画しても各画分のCSの硫酸化度、硫酸化の位置に違いがないこと。 3.分子量12kDa以上のCSはほとんど経口吸収されないこと。 4.腸管上皮間リンパ球(IEL)膜表面上のL-セレクチンにCSが結合し、サイトカイン産生を介して全身性免疫系を刺激すること。 5.腸管吸収されたCS(分子量7〜5kDa)は脾臓細胞のヘルパーT細胞のI型、II型への分化誘導に機能すること。 以上経口投与したCSはその分子量により代謝的運命が異なるものの腸管免疫系を介して全身性免疫に対しても作用する可能性が明らかになった。
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