研究課題
基盤研究(C)
グリア細胞や神経細胞などが正常に機能するには、ADP・アデノシンなどのプリン塩基が重要な役割を果たしており、それらの多くが受容体を介している事が明らかになっている。当研究室では、高濃度アデニンの存在下でラット胎児小脳を初代培養すると、プルキンエ細胞の細胞死が抑制される事が明らかになった。そこで、初代培養系におけるプルキンエ細胞の細胞死にミクログリア細胞が関与しているか調べる為に、ミクログリア細胞の貪食阻害剤を加えプルキンエ細胞の細胞死への影響を調べた。その結果、初代培養系においてミクログリア細胞がプルキンエ細胞を貪食している事が明らかになった。また、初代培養系から単離したミクログリア細胞やマクロファージに分化させたU937細胞を各種塩基の存在下で培養する事により、アデニン特異的に細胞死を誘導している事も明らかになった。以上の結果から、アデニン添加によりミクログリア細胞の細胞死が誘導される事により、間接的にプルキンエ細胞の細胞死が抑制されるという仮説が成り立つ事が強く示唆された。続いて、アデニン誘導細胞死の詳細メカニズムを解析するために、アデニン添加による細胞周期の分布の変化を調べたところ、アデニンを添加する事によりS期の進行が遅延する事がわかった。今後の最重要課題は、このアデニン特異的結合タンパク質がアデニンによる神経細胞死の抑制機構に関わっていることを明らかにすることである。以上のように、アデニンによるプルキンエ細胞死の抑制機構を明らかにすることは、中枢神経系におけるプリン誘導体の新たな作用、およびその機構の解明につながることが期待され、神経細胞の細胞死抑制機構についてさらなる理解が得られる糸口がつかめるものと確信する。
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