研究課題
基盤研究(C)
肝臓は生体異物の代謝に最も重要な役割を果たしている組織であり、多様な薬物代謝酵素が発現している。従ってヒト肝の薬物代謝酵素の発現の変動を把握することは、環境化学物質の毒性発現の予測に繋がるものと考えられる。HepG2細胞(肝臓芽細胞腫から樹立された培養細胞系)は、ヒトの肝臓における薬物代謝酵素の発現制御を解明する目的で、分子生物学的研究や医薬品開発においてヒト肝のモデルとして汎用されている。本研究では、ヒト肝のUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)1A分子種の誘導性を解明することを目的として、主に肝臓に発現し、環境化学物質や医薬品の生体異物の代謝に深く関与しているUGT1A1、 UGT1A6及びUGT1A9に焦点を当て、Ah受容体のリガンドのβ-ナフトフラボン(BNF)によるこれらUGT分子種の酵素活性及びmRNAレベルの変動について追究した。HepG2細胞ミクロゾームのUGT1A1の指標として用いた7-エチル-10-ヒドロキシカンプトテシン(SN-38)のグルクロン酸抱合反応は、アロステリックな速度論的プロファイルを示し(n値:1.2〜1.3)した。V_<max>値は、BNF前処置により3.6〜4.3倍増加したが、S_<50>値はBNFの影響を受けなかった。一方、UGT1A6及びUGT1A9の指標として用いた4-メチルウンベリフェロン(4-MU)のグルクロン酸抱合反応は二相性の速度論的プロファイルを示し、BNF前処置によって高K_m相のK_<m2>値は有意に低下し(54〜69%)、V_<max>及びV_<max>/K_m値はいずれの相でも有意に増加した(1.9〜3.2倍)。しかし、BNF前処置によるUGT1A1のmRNAレベルの増加は確認できたが、UGT1A6及びUGT1A9の変動は認められなかった。これらの結果より、BNF前処置によってUGT1A1が誘導されるが、その発現・誘導機構としてAh受容体以外の要因も関与することが示唆された。
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