研究課題/領域番号 |
18590159
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医療系薬学
|
研究機関 | 大阪薬科大学 |
研究代表者 |
掛見 正郎 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (00019134)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2008
|
研究課題ステータス |
完了 (2008年度)
|
配分額 *注記 |
4,010千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 510千円)
2008年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 薬効解析学 / 糖尿病治療薬 / NIDDM / トルブタミド / PK-PD / 概日リズム / 糖尿病自然発症モデル / 時間薬理学 / 日内変動 / 糖尿病 / 生体恒常系 / ZDFラット / GKラット |
研究概要 |
本研究は、sufonylurea(SU)系糖尿病治療薬tolbutamide(TB)の血糖降下効果を、病態 (高血糖・糖尿病) 時で、しかも血糖恒常系の日内変動が存在する中で検討し、その結果得られた情報を基に、SU剤の全く新しい最適投与計画を策定しようとするものである。今回は、成人型糖尿病として2型糖尿病(NIDDM)に焦点を絞り、二種類の自然発症病態モデル動物を用いて検討を行った。1つは非肥満型NIDDMモデルであるGK Rat、もう一つは肥満型NIDDMモデルであるZDF Ratである。このうちGK Ratは膵ランゲルハンス島β細胞からのinsulinの分泌が成長にしたがって速やかに低下するとともに、insulin抵抗性を獲得する病態動物である。これに対しZDF Ratは、肥満発症とともにinsulinの分泌が徐々に低下し、insulin抵抗性も獲得する病態動物である。これら自然発症病態動物を本研究で用いた理由は、アロキサン糖尿病ラットやストレプトゾトシン糖尿病ラットなどの化学物質誘導病態と異なり、今回用いたTBなどのSU剤に感受性があるばかりでなく、血糖恒常系自体も維持されていると考えられたからである。実際、GK Rat、ZDF Ratとも血糖値は正常ラットに比べ有意に高いものの、血糖値の日内リズムは規則正しく刻まれている、すなわち血糖恒常系が維持されていることが明らかとなった。GK Ratにおける血糖値の概日リズムは、リズム平均(Mesor)=119 mg/dL、振幅(Amplitude)=6.91 mg/dL、頂点位相(Acrophase)=18時30分となり、正常ラットに比べ、振幅が有意に大きくなると同時に、頂点位相が約3時間後方にずれることが判った。一方ZDF Ratにおける血糖値の概日リズムは、リズム平均(Mesor)=121.9mg/dL、振幅(Amplitude)=25.37mg/dL、頂点位相(Acrophase)=19時20分であった。この値は正常ラットに比べ、振幅が大きくなり、また頂点位相も約4時間後方にずれていることが判った。このように本研究によって、これら糖尿病態時の血糖値、血漿中insulin濃度の日内変動動態を、詳細に明らかにすることが出来たことは、大きな成果であると考えている。またこれら病態時の血糖恒常系の中で、TBの薬理効果を検討した結果、投与時刻によって薬理効果が著しく変動することを明らかにした。特にGK Ratでは、明期(休息期)にTBを投与しても薬理効果(血糖降下効果)はほとんどないのに対し、暗期(活動期)に投与すると著しく薬効が現れることが明らかとなり、生体の持つ概日リズムの重要性が改めて浮き彫りとなった。また、ZDF Ratにおいても、暗期(活動期)にTBを投与する方が、明期(休息期)に投与するよりも、薬理効果が大きくなること、さらに糖尿病病態では、薬理効果発現が遅延することが明らかになった。今後これらの現象の原因を追究するとともに、当初の目的である"Mechanism-based PK-PD Model"を設計し、定量化を目指すとともに、これら結果を組み込んだ、全く新しい薬物投与計画の設定、さらにはこれを応用したDDS製剤の新しい概念を提唱したいと考えている。
|