研究課題/領域番号 |
18590170
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
三浦 真弘 大分大学, 医学部, 講師 (50199957)
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研究分担者 |
紀 瑞成 大分大学, 医学部, 助教 (60305034)
加藤 征治 大分大学, 本部, 理事 (60034956)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,970千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 570千円)
2007年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2006年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 大腸壁内リンパ管 / 経リンパ吸収路 / リンパ行性転移 / 免疫・酵素組織化学 / 剥離伸展組織試料 / 脈管外通液路 / CH-40 / 癌腫細胞 / CH40 / 大腸壁内リンパ管系 / 酵素組織化学 / リンパ流 |
研究概要 |
1)癌腫リンパ行性転移機構に関わる大腸壁内リンパ管系の微細構築とそのリンパ流路の解明(特に"粘膜内癌"に関連する粘膜固有層内リンパ管系の構造と吸収能の解明を中心として):大腸粘膜内リンパ管については、サル・ヒト試料ともに固有層(LPM)域にリンパ管網の存在が免疫・酵素組織化学的解析において確認された。粘膜内リンパ管は結腸領域差なく表層膠原線維板に接する位置から盲端部として起始することから、粘膜内癌(M癌)においても経リンパ癌進展の可能性があることが示唆された。CH-40粘膜上皮内注入実験では、炭粒子の経リンパ吸収は極めて速い一方で、吸収経路はLPM内の狭い領域を通過するのみで、粘膜内にでは側方向へのリンパ路は比較的乏しいと判断された。従って、リンパ管網ないしは配置様式が粗な結腸域では癌細胞がLPMリンパ管に仮に近接したとしても局所リンパ流の観点から安易にリンパ行性転移に進展しない可能性も示唆された。因みに、サルにおいてLPM浅層リンパ管網は、上行結腸前半・下行結腸後半・S状結腸において著しく発達した(ヒトはデータ不足)。 2)ヒト大腸における起始リンパ管の形態学的特徴と実験動物における癌細胞との接触様式の解明:歯状線(DL)より中枢側の直腸膨大部では通常、一般的な結腸と同様のLPMリンパ管網の分布様式を呈した。肛門-直腸移行部(DL付近)におけるリンパ路はDLを分水嶺とする様な多方向のリンパ路が考えられた。即ち、側方向では(1)直腸側・(2)肛門側、縦方向では(3)内肛門括約筋側間に向かう3方向のリンパ系に注ぐことが推測された。特にDL粘膜下層には側方向の排導に関係するリンパ管網(サル直腸)の存在が確認された。3)上皮下結合組織層における脈管外通液路(プレリンパチャンネル)としての構造的特徴の電顕的解析:化学的消化を施した試料のSEM解析において、上皮下基底膜と膠原線維板に10μ前後の小孔(pore)の存在が確認された。上皮層とLPMとの間には僅かな交通路が存在するが、孤立リンパ小節周辺ではリンパ管網の急激な発達とともに上記小孔の径の増大と数の増大が見られた。また、LPMリンパ管網の発達と小孔との関連性については、今後さらに詳細に検索する予定である。 4)大腸粘膜固有層から壁外リンパ管系に至る吸収-排導経路の全容の解明:ヒト・ニホンザルともにLPM浅層水平リンパ管網または単一盲端リンパ管として起発した。起始部は共に基底膜(BM)直下から始まり、何れもLPM深層に単一枝として下降したのち、粘膜筋板(MM)直上の発達した水平方向のリンパ管網に合一した。LPM内の浅層リンパ管は細く弁構造は認められなかったが、MMを貫通し、粘膜下層に出ると100μを超える大きく発達したリンパ管網にすべて合流した。固有筋層には筋層間に特定の裂間隙が存在し、粘膜下層の集合リンパ管のほとんどは同部を貫通したのち漿膜下リンパ管網と壁外リンパ管系と交通した。
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