研究課題/領域番号 |
18590179
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
後藤 薫 山形大学, 医学部, 教授 (30234975)
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研究分担者 |
八月朔日 泰和 山形大学, 医学部, 助教 (00372334)
小谷 直樹 山形大学, 医学部, 教授 (30205405)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
4,020千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 420千円)
2007年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2006年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 虚血ストレス / 心筋細胞 / 神経細胞 / 脂質代謝 / 核 |
研究概要 |
申請者は生体情報伝達機構における脂質性二次伝達物質ジアシルグリセロールのリン酸化酵素DGキナーゼ(DGK)に注目し、ラットから単離した5種のDGKアイソザイム(α,-β,-γ,-ζ,-ι)の機能解析を行っている。本研究では、虚血ストレスに対する細胞の初期応答機構について、心筋細胞におけるDGK(ゼータ)の分子動態を指標として解析を行った。さらに、本研究で得られた結果とこれまで脳内のニューロンで得られた実験結果と比較検討した。 心臓を用いた実験では、心臓左室前壁を栄養する冠状動脈左前下降枝を結紮し心筋虚血モデルを作製したところ、DGKζは正常心筋細胞においてニューロン同様、核内に局在するが、虚血領域の心筋細胞では核内から消失し細胞質に移行することが明らかとなった。しかしながらDGKζは再還流後に再び核内に検出された。次に新生仔ラットから作製した初代心筋培養細胞を用いて、生体の虚血状態をシミュレートするために無酸素ガス(95%窒素/5%二酸化炭素)を用いて実験を行った。その結果、培養心筋細胞においても個体実験と同様にDGKζは、核から消失し細胞質に認められ、正常酸素下に戻すと再び核内に認められるようになった。さらに今回、持続的な無酸素状態下においても10分後には、DGKζが再び核内に戻る現象を新たに見出した。 これらの結果は、ニューロンで観察された不可逆性の応答と大きく異なっている。海馬ニューロンは虚血再灌流後に細胞死の運命をたどるが、一方、心筋細胞は細胞死に陥ることなく生存する。またDGKζの核内への再移行は、心筋細胞のpreconditioningのメカニズムと関連する可能性が示唆された。今後さらに、DGKζの核内外移行のメカニズムと細胞の生存の関連性について追求する予定である。
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