研究課題
基盤研究(C)
平成18年度に確立したウサギ血管内皮細胞を用いてイオンチャネルと細胞防御機構の関係を調べた。細胞膜イオン透過性を亢進させるamphotericinBを細胞に投与し、細胞にダメージを定量的に加えるシステム(平成18年度に確立)を用いて、種々のイオン条件、及びイオンチャネル阻害剤の細胞障害に対する影響を調べた。その結果、C1-チャネル阻害剤であるNPPBやDIDSがamphotericin Bによって引き起こされる細胞障害を抑制した。また、細胞外塩素イオンをグルコン酸に置換すると、細胞障害が軽減さた。これらのことから、細胞へのC1-チャネルを抑制することが細胞防御効果をもたらすことが明らかとなった。amphotericinB以外に細胞障害を与える条件として、過酸化水素刺激による細胞障害がC1-チャネル抑制により軽減されるかどうか調べた。過酸化水素刺激の場合もamphotericinBの場合と同様にNPPBやDIDS投与、または塩素イオン置換により抑制されることが明らかとなった。このように、塩素イオン流入抑制が種々の細胞障害に対して細胞防御作用を持つことが明らかとなった。これらの研究から、塩素イオンチャネルを介する塩素イオンの流入が細胞に対してダメージを与えることが動脈硬化モデル動物における動脈硬化形成の機序に関与することが予想されたため、動脈硬化モデルウサギ(KHCウサギ)に対して、高濃度のNaClを食餌に加えて慢性的に投与する実験を行った。6ヶ月の高NaC1食投与と動脈硬化形成の関係を調べたところ、驚くべきことに、高NaC1負荷群の方が動脈硬化の形成が抑制されることが明らかとなった。この機序について、現在、研究を進めているところである。
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