研究課題
基盤研究(C)
本研究では低分子量GTP結合蛋白質Rhoによるアクチン細胞骨格再編成に寄与する下流標的分子ROCK、mDiaの機能解析を行った。ROCKは哺乳類細胞で2つのアイソフォーム(ROCK-I、-II)が発現している。本分子の個体での機能解析の目的で、ROCK-I、-IIそれぞれの遺伝子欠損動物を作出し、それらを掛合せ産まれたダブルヘテロの個体同士の交配により、ダブルノックアウトマウスの作出を行った。その結果、ダブルノックアウトマウスは胎生期E9.5以前で致死であることが判明した。あわせて、他の遺伝子型の個体数を検討したところ、E9.5で確認された(ROCK-I^<+/->ROCK-II<-/->)、(ROCK-I^<-/->ROCK-II^<+/->)の個体は、E12.5では認められず、これらの個体はE9.5〜E12.5日に致死となることが判明した。そこでE9.5これら胚を観察したところ、この時期で確認されるターニングが見られず、同様なことがダブルヘテロの個体の約半数においても確認された。さらに、これらターニング異常の個体では、卵黄嚢上、胎仔での血管形成に遅延を認あた。これらの結果からROCKは胎生期の管形成に重要な機能を担っていることが示唆された。mDiaに関しては、先ずケモカインにより惹起される細胞遊走および細胞質分裂におけるmDiaの働きについて解析した。細胞遊走に関してmDialは、移動方向に向けた微小管の安定化や細胞前縁での活性化Cdc42やApcの集積、その結果として極性形成への寄与、並びに細胞接着斑の回転へ関与しており、移動時の細胞体の移動を調節していることが明らかとなった。細胞質分裂に関しては、RNAi法によりmDia枯渇させたところ、mDia2RNAiが細胞質分裂を阻害した。mDia2は、分裂期後期より分裂溝に局在し、細胞質分裂終期で娘細胞間橋に蓄積する。また、mDia2RNAiにより分裂細胞中央部以外の異常部位で収縮が誘発されることが明らかとなった。
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Mol Biol Cell. 19
ページ: 2328-2338
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J Biol Chem 281
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